私たちは普段当たり前のように電気を使用していますが、それが『高圧受変電設備工事』によるものということをご存じでしょうか。ほとんどの方が意識していないかもしれませんが、電力会社から供給された電気を使うための工事なのです。
そこで今回は、高圧受変電設備工事全般についてご紹介いたします。
高圧受変電設備工事の種類
そもそも高圧受変電設備工事の目的がなにかというと、電気を減圧するためです。電力会社から供給された電気ですが、建物内で使用するためにはそのままでは使えません。電圧が強すぎるので、適正な電圧へと調整しなければならないのです。そのための設備のことを受変電設備といいます。
電圧によって3つの種類に分類され、『600Vを超え、7000V以下のもの』が高圧です。ちなみに600V以下ですと低圧、7000Vを超えますと特別高圧になります。
高圧受変電設備工事には、以下の2種類が存在しています。
開放型
鉄パイプを使用したフレームに対して、配電盤や遮断器などの電気機器を取り付けるタイプです。電気機器がむき出しになっているため開放的な見た目となっています。以前までは一般的に使用されてきたタイプですが、開放的であるがゆえに危険性が高く、また保守点検用のスペースがある程度必要になってしまいますので、現在ではほとんど使用されなくなっています。
閉鎖型
キュービクルと呼ばれる金属製の箱の中に電気機器をすべて詰め込んだタイプとなります。現在ではこのタイプが主流となっており、以下のようにさまざまなメリットがあります。
- 省スペースで済む
- 屋上や地下など場所を選ばずに設置ができる
- 保守点検がかんたんで信頼性にも優れている
- 充電部が露出していないため安全
- 短期間で設置が可能
高圧受変電設備工事の特徴
高圧受変電設備に関して実際に行われる工事の種類や特徴は以下のとおりです。
変圧器関連
電力会社からの電気に対して圧力を変化させる際に使用する、最も重要な設備が変圧器(トランス)です。初めての場合は取り付けを行い、点検の際には最新のモデルへの交換などを行うことになります。変圧器内部には絶縁油があり、徐々に消耗してしまいますので定期的に交換の必要があります。
ブレーカー対応
変電された電気は分配しなければなりません。その際に必要となるのがブレーカーです。各部屋などに対して分配しつつ、漏電防止の役割も担っています。取り付け設置だけでなく、メンテナンスとして交換も行います。使用電力量次第では増設することも少なくありません。
アース・高圧遮断器関連
電気設備に万が一不具合が発生した際に重要となるのがアースです。電気の逃げ道を作ってあげることによって、事故の被害を最小限に抑えます。基本的には電気の棒を地面に突き刺すことで、電気を地面へと逃がすことが可能となり感電を防ぎます。電気回路に何らかの問題が発生した際に欠かせない高圧遮断器に関しても、取り付けや交換が必要です。
各種対策
サビや熱など、使用していく中で考えられる問題に対しての対策を行うことになります。また、設備内にネズミや蛇などの小動物が侵入することもあります。故障の原因になるため、侵入を防ぐ対策に関しても必要です。
高圧受変電設備工事で設置される電気機器
高圧受変電設備工事の際に、設備として設置される代表的な電気機器は以下のとおりです。
変圧器
電力会社から供給された電気を、使用電圧へと減圧するための設備です。これがなければそのままの電気を使用することができないので、とても重要な設備となっています。高圧受変電設備工事自体も、そもそもこの設備を正常に稼働させるために行うものです。
進相用コンデンサ
受変電設備内の高圧回路に接続されるものです。力率を改善する目的で取り付けられていて、力率を改善することによって、無効電力が少なくなるというメリットがあります。そのため電力会社では、力率料金制度というものが導入されており、85%を基準として、力率が基準を上回るごとに割引されるようになっています。
高圧遮断器
電気回路を保護するために設置する設備です。過電流などの事故が発生した際に、高圧電路の開閉などを行うことで電気回路に影響が出ないようにします。
高圧負荷開閉器(LBS)
万が一事故が発生した際に、周囲への影響を最小限に抑えるための設備です。電気事故が発生した場合、発生元のご家庭だけでなく近隣への波及事故が起きてしまうことがあります。そうなってしまうと被害は甚大となるため、高圧負荷開閉器によって被害を限定的にするのです。
高圧受変電設備工事に必要な資格
高圧受変電設備工事は誰でも行えるわけではありません。電気を取り扱うため、資格が必要です。その資格は『電気主任技術者』です。発電所や変電所、ビルなどの電気にまつわる設備などを取り扱うために必要となる資格となっています。第一種〜第三種まであり、それぞれ可能な権限が異なっています。
最も権限が少ないのは第三種です。電圧が5万V未満の事業用電気工作物の取り扱いが可能となりますが、出力5千キロワット以上の発電所は除きます。第二種は2番目に権限があり、電圧が17万V未満の事業用電気工作物の取り扱いが可能です。第一種は最も権限があり、すべての事業用電気工作物を取り扱うことが可能となるのです。
業者の方に高圧受変電設備工事の依頼をする際には、念の為電気主任技術者の有資格者であることを確認するといいでしょう。
まとめ
当たり前のように思える電気の利用ですが、高圧受変電設備工事によって成り立っているのです。「株式会社旭電設」では、さまざまな電気工事を請け負っており、確かな経験と技術を駆使して丁寧な工事を心がけております。ご依頼を検討しているという方は、お気軽にご相談ください。